凍えた空気の感触もとうに忘れ
仰ぎ見る月すらもただの銀色
死に逝く体を繋ぎとめたはずの心は
いつの間にか腐りゆく体よりも先に崩れ落ち
後にはただ 欠片が空しく残るのみ

手を伸ばしても その指に触れられるものはとうに無く
その目に映るものは 意味を成さず
声をあげても 首に刻まれた傷口から耳障りな音が漏れるだけ



目の前に佇む小さな黒い影
ふいに瑠璃色の髪がさらりとゆれ 銀の瞳がこちらを捉えた
虚ろに見上げる視線に 凍った銀色がわずかに揺らぐ
その揺らぎは歓喜だろうか 憤怒だろうか 憎悪だろうか 悲哀だろうか
けれどそれを感じ取る心はもはや失われ
かつての在り処で かすかに欠片が疼いた



−これが正しいとか、救いになるとは思っていません。


感情を押し殺したような冷たい声

−けれど、僕は他に方法を持たない。

瞳が閉じられ 銀色が闇に沈む

−だから、

そうして再び開かれた瞳は 二度と揺らぐ事のない強い光を宿して



−呪うなら、呪えばいい。



迷いの無い動作で右手が引かれ

月に輝く十字架が夜をなぞり

耳元で風を切る音に

何かがぶつりと途切れ



世界が、回転、した、



==============================================
この作品は、株式会社トミーウォーカーの運営する
『シルバーレイン』の世界観を元に、
株式会社トミーウォーカーによって作成されたものです。
イラストの使用権は作品を発注した芹澤天のプレイヤーに、
著作権は西雅絵師に、
全ての権利は株式会社トミーウォーカーが所有します。
==============================================